太陽表面の大爆発現象である太陽フレアが発生すると、強烈なX線やガンマ線、紫外線などの電磁波が放出され、約8分20秒で地球へ到達します。さらに数日遅れて高エネルギー粒子(コロナ質量放出:CME)が押し寄せ、地球の磁場を大きく揺らす「磁気嵐」を引き起こします。
この現象を聞くと「強い電磁波や放射線を浴びて被爆しているのではないか」と不安を抱く人が少なくありません。しかし、物理学および宇宙生物学の観点から見ると、地表で暮らす人間への直接的な被曝リスクはほぼゼロです。地球には分厚い大気層と強力な地磁気(磁気圏)という二重のバリアが存在し、有害な電磁波や高エネルギー粒子の大部分を宇宙空間で遮断・吸収しているためです。
国際放射線防護委員会(ICRP)や世界保健機関(WHO)の調査でも、地上の一般生活者が太陽フレア起因の電磁波によって急性・慢性の健康被害を受けた事例は報告されていません。高度1万メートル以上を飛行する航空機の乗務員や、大気圏外で活動する宇宙飛行士を除き、地表に届く電磁波強度は日常の家電製品やスマートフォンから発せられるレベルと比べても極めて微小です。