保護者が最も恐れるのは、口元の震えが「てんかん」や「脳障害」の初期症状ではないかという点です。小児神経専門医が現場で行うトリアージ(緊急度判定)では、生理的振戦(ジッタネス)と病的痙攣の間には明確な挙動の差異が存在します。
決定的な見分け方は、「震えている部位を手で優しく押さえたときに止まるかどうか」です。ジッタネスであれば、震えている下唇や顎、手足を大人の指先でそっとホールドすると、神経の反射が抑えられてピタリと震えが止まります。一方で、てんかん発作などの病的痙攣の場合、脳内で異常な電気放電が続いているため、外から手で押さえても震えが止まらず、筋肉の硬直や規則的なピクつき(間代性痙攣)が手掌越しに伝わり続けます。
万が一、乳児期にてんかん(例えばウエスト症候群や大田原症候群など)が発症する場合、赤ちゃんにてんかんの初期症状として現れるのは、口の細かなプルプル単独ではなく、両手をビクッと挙上させてお辞儀のように頭を前屈させる動作(点頭発作)が数秒おきに反復するパターンが典型です。口元の小刻みな震えだけで、意識がはっきりしており母乳やミルクを力強く飲むのであれば、緊急性の高い痙攣である可能性は極めて低いと判断されます。