ドラマのバックボーンを支えるのは、数々の傑作ミステリーを世に送り出してきた直木賞受賞作家・柚月裕子の小説『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』である。ハードボイルドな世界観と人間ドラマの融合を得意とする著者の手腕は、本作でも遺憾なく発揮されている。
原作小説とドラマ版を比較したとき、ファンを驚かせるのは細部に散りばめられた知られざる伏線だ。涼子がなぜ弁護士の立場を追われることになったのか、その暴力事件の裏に隠された真の黒幕の意図や、貴山が抱える暗い過去のトラウマなど、物語が進むにつれて点と点が線で結ばれていく構成は見事というほかない。
特に、一見すると単なる1話完結型の滑稽な詐欺撃退劇に見えるエピソード群が、実はクライマックスの巨大な陰謀へとつながっているという事実は、再読・再視聴時に大きな衝撃を与える。柚月裕子の描くキャラクターたちの心理描写の細やかさが、ドラマの映像表現として見事に結実している点に注目したい。