ヴェネツィア浸水の真相と現在|巨大防潮堤Mose稼働後のリアル

ヴェネツィア浸水の真相と現在|巨大防潮堤Mose稼働後のリアル

ヴェネツィア浸水の真相と現在|巨大防潮堤Mose稼働後のリアルの最新情報をお届けします。専門的な知識が満載です。

SNSや大手動画プラットフォーム上では、「ヴェネツィアは年中いつでも水に浸かっている」「スーツケースを泳がせて運んでいる」といった極端なクリップが拡散されがちです。しかし、これらは現地の実情を知らない典型的な誤解と言わざるを得ません。

第一の盲点は、「浸水は24時間続くわけではない」という点です。アクア・アルタは海の干満差に連動しているため、潮位がピークを迎えるのは1日に数時間程度。満潮の山を越えれば海水は自然に引き、数時間後には石畳が乾き始めます。1日中水浸しでホテルから一歩も出られないという事態は、異常事態を除いてまず起こり得ません。

第二の盲点は、サン・マルコ広場冠水が「MOSEの失敗」ではないという事実です。市内全域の平均標高が海抜110〜120cm程度であるのに対し、サン・マルコ広場の最も低い地点は海抜わずか64cmしかありません。そのため、潮位が80cmを超えるだけで真っ先に海水がマンホールから逆流します。この「海抜差のジレンマ」を解消するため、現在はサン・マルコ寺院の周囲に透明な強化ガラス製の防潮フェンスが設置され、小規模高潮から歴史的モザイク床を守る二重の防御網が敷かれています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。