大手メディアがコスト削減に舵を切るなか、『報道特集』は多大な人員と時間を注ぎ込む調査報道の最後の砦と目されてきた。だが、その矜持が現場を追い詰めていた側面もある。
「スクープを獲らなければ存在意義がない。独自の切り口を見せなければネットメディアの後追いにしかならない」。ある中堅ディレクターはそう吐露する。速報性とセンセーショナリズムが支配する情報環境において、骨太なドキュメンタリー番組を作り続けるプレッシャーは想像を絶する。
結論ありきで取材を進めてしまう「ストーリーの罠」に、なぜ誰もブレーキをかけられなかったのか。組織内の風通しやチェック機能の形骸化が、現場の過度な焦燥感と結びついていた構図が浮かび上がる。