最高峰の栄誉である文部科学大臣賞を手中に収めた作品は、審査員全員の意表を突く構造を持っていた。多くの大人が「センサーや電子制御を組み込めば解決する」と考えがちな日常生活の課題に対し、受賞した中学生はあえて電気を使わない「純粋な力学と素材の弾性」だけで完璧な自動制御機構を構築してみせた。
文部科学省の担当官や専門家が目を見張ったのは、その圧倒的な実用性と無駄のなさだ。身近な高齢の家族が日常動作で困っていた些細な不便を観察し尽くし、わずか数百円の材料費で誰もが使える補助具へと昇華させた。試作の数は数十回。失敗の痕跡が刻まれた試作機の山こそが、机上の空論ではない本物の説得力を生み出していた。審査員席からは「技術の本質とは何かを教えられた」と感嘆の声が漏れたほどだ。