日本の刺青に対する拒絶感は、一朝一夕に生まれたものではない。起源を遡れば、江戸時代以前にまでたどり着く。特に徳川家康が開いた江戸幕府のもとで、刺青は罪人に対する「入れ墨刑」として本格的に利用されるようになった。腕や額に刻まれた墨は、犯罪者であることを社会に示す目印だったのだ。
その後、幕末から明治時代にかけて自発的な刺青文化(彫物)が粋な職人や極道の間で開花したものの、明治政府は近代国家としての体裁を整えるため刺青禁止令を発令。これにより、「刺青=表の社会から外れた者」という強いステレオタイプが固定化された。近年の文化理解においては、明治期のアイヌ文化における伝統的な刺青を描いた人気漫画『ゴールデンカムイ』などの影響で歴史的知見が深まりつつあるが、一般社会における負のイメージは容易には拭えなかった。