刑事裁判において、最も重い選択を迫られるのが死刑と無期懲役の境界線です。この判断において今なお絶対的な指針として機能しているのが、1983年の最高裁判所判決で示された通称「永山基準」です。
永山基準では、以下の要素を総合的に考慮して極刑を適用すべきか判断されます。
- 犯行の罪質(手口の残虐性や計画性)
- 犯行の動機および態様
- 殺害された被害者の数
- 遺族の処罰感情
- 社会的影響
- 犯人の年齢や前科、犯行後の情状
司法の慣例として「被害者1名の場合は無期懲役、被害者多数の場合は死刑が視野に入る」という大まかな目安が語られてきました。しかし、裁判員裁判の導入以降、強盗殺人や身代金目的誘拐殺人など、被害者が1名であっても悪質性が極めて高い事案では死刑が選択される事例が見られます。逆に、複数名の殺害であっても心神耗弱や情状酌量の余地が認められ、無期懲役にとどまる判例も存在し、両者の量刑基準は極めて緻密な審理を経て線引きされています。