『白い巨塔』の歴史を語るうえで避けて通れないのが、出演者たちの壮絶なドラマと別れです。
もっとも衝撃的だったのは、1978年版の主演・田宮二郎の死です。ドラマの撮影がすべて終了した直後の1978年12月28日、最終回2話分の放送を残した段階で自ら命を絶ちました。躁うつ病や多額の借金苦など様々な要因が報じられましたが、鬼気迫る財前五郎の役作りに命を削りすぎたことも一因とされています。皮肉にも、主役本人の死という悲報のなかで放送された最終回(財前五郎の死)は視聴率31.4%を記録し、テレビ史に残る悲劇として語り継がれています。
また、2003年版で財前五郎の義父・財前又一役を務めた西田敏行さん(2026年10月逝去、享年76)の怪演も忘れられません。産婦人科医として財を成し、金とコネを駆使して娘婿の財前を教授に押し上げようとする俗物的なキャラクターを、ユーモアと人間味たっぷりに演じ切りました。「五郎ちゃん」と呼びかける温かな眼差しは、冷たい巨塔の世界における救いでもありました。
1978年版で鵜飼医学部長を演じた小沢栄太郎さんや大河内教授役の加藤嘉さん、曽我廼家明蝶さん、太地喜和子さんら昭和の名優たちも鬼籍に入っていますが、彼らの遺した至高のアンサンブルは色褪せることがありません。