哲夫氏の仏教本が幅広い世代から支持される最大の要因は、「原典への徹底した敬意」と「芸人ならではの卓越した比喩力」の融合にあります。仏教解説書と聞くと、難解な漢訳用語や抽象的な哲学概念が並び、途中で挫折してしまう読者も少なくありません。しかし哲夫氏は、お釈迦様が本来説いた教えの根底にある「生きづらさを解消する知恵」を、現代人の日常風景に置き換えて見事に翻訳しています。
背景にあるのは、哲夫氏の確かな学歴と生い立ちです。歴史ある奈良県桜井市に生まれ育ち、幼少期から寺社仏閣や仏像に親しんできた環境に加え、関西学院大学文学部哲学科(美学専修)を卒業した知性派としての素養を備えています。単なる思いつきのギャグではなく、哲学や美学の論理的思考がベースにあるからこそ、物事の本質を的確に捉えた解説が可能なのです。
テレビ特番や自著のまえがきで語られている「仏教はお説教やオカルトではなく、人間がご機嫌に生きるためのスーパーポジティブな取扱説明書である」という視点は、多くの読者に目から鱗の衝撃を与えました。高圧的な上から目線が一切なく、同じ目線で「これめっちゃ面白い教えやねん」と語りかけてくるライブ感が、読者を惹きつけて離さない決定的な理由といえます。