運転現場における徐行の認識には、制度上の定義とドライバーの体感との間に極めて危険な乖離が存在します。指定自動車教習所の指導員や交通捜査官へのヒアリング、SNSや知恵袋に寄せられる生の声から、その実態が浮き彫りになっています。
都内の指定自動車教習所で15年以上の指導歴を持つベテランインストラクターは、学科試験と実技講習の落とし穴について次のように証言します。
「運転免許学科試験の徐行問題で最も正答率を落とすのが、『徐行とは時速10キロ以下で走行することをいう』という正誤判定です。多くの教習生が◯にしてしまいますが、法律上に数値規定はないため正解は✕です。実技試験でも、曲がり角で見通しが悪いのに時速10キロ前後で曲がろうとして『徐行不十分』で減点されるケースが後を絶ちません。教習現場では『いつでも踏めばその場で止まる速度』と叩き込みます。」
一般ドライバーのコミュニティでも、取り締まりを受けた際のショックや認識不足を吐露する声が多数見受けられます。
「住宅街の見通しの悪い十字路で、時速15キロくらいまで落として慎重に通ったつもりだったが、白バイに『徐行違反』で止められた。『スピードメーターを見るのではなく、人が飛び出してきた瞬間にピタッと止まれる速度でなければ徐行とは言えない』と指導され、反則金を払う羽目になった。」(30代・会社員ドライバーの投稿)
このように、「自分では十分に速度を落としたつもり」という主観的な減速は、警察の取り締まりや事故現場の客観的検証では一切通用しません。