料理のラインナップを眺めれば、この店がどれほどフランス伝統料理の骨格を愛しているかが一目でわかる。中でも絶対に外せない看板メニューが、豚の血と脂、ハーブとスパイスを腸詰めにし、じっくりと焼き上げた「ブーダン・ノワール」だ。
ナイフを入れた瞬間に広がる濃密な香気。一口含めば、臭みなど微塵もない濃厚な旨味と、添えられたリンゴのピュレの甘酸っぱさが口内で完璧なハーモニーを奏でる。ポーションの容赦ないデカさもパリさながらだ。一口ごとに広がる深いコクは、長年培われた確かな技術と食材への敬意がなければ成立しない。