間取りの狂気は、二階の設計においてさらに顕著になります。通常、住宅の居室には採光と換気のために一定の窓を設けることが建築基準法で義務付けられていますが、この家の子供部屋には窓が一切ありません。
さらに異様なのは、子供部屋が家の中心に配置され、周囲を廊下とクローゼットで囲まれた「完全な密室」となっている点です。部屋の入り口には外側から施錠できる鍵が取り付けられており、保護という名目を超えた徹底的な隔離意図が読み取れます。
栗原と「私」の調査によって、間取りに隠された戦慄の殺人計画の全貌が明らかになります。
二階の子供部屋のクローゼット奥には、一階へと繋がる隠し通路が偽装されていました。その動線を辿ると、一階の「謎の空間」を経由して浴室の脱衣所へと直結しています。この構造が意味する役割は極めて残酷なものでした。
来客を一階の客間(あるいは寝室)に招き入れて殺害した後、遺体を隠し通路を使って浴室へ運び、解体・処理する。窓のない部屋に閉じ込められた子供は、家の中で何が起きているか一切知らされることなく、夜な夜な行われる凶行から完全に遮断されていた――あるいは、後述する「ある目的」のために利用されていたのです。