伝統的な着物文化において、緑は自然の息吹や調和を象徴する高貴な色とされてきた。しかし近年の和装・伝統着物産業は、より日常的でジェンダーレスな美意識を取り入れた変革期を迎えている。その象徴こそが、甘さを抑えて知性を際立たせる「緑の帯」の台頭だ。
業界を牽引する株式会社やまとは、現代のライフスタイルに馴染むミニマルな和装スタイルを次々と打ち出し、若年層の取り込みに成功している。同時に、着付け教室や流通改革を推進する日本和装ホールディングス株式会社の動向を見ても、従来の「着崩さない堅苦しさ」から「自分らしさを表現する自由な着こなし」へと消費者の関心がシフトしているのは明白だ。そうした時代の空気に、緑というアースカラーが見事に呼応している。