玉の海の強靭な肉体そのものが、皮肉にもリスクを跳ね上げていた側面は見逃せない。力士という職業柄、彼の体重は130キロを超えていた。体重が重ければ重いほど、下肢の静脈は圧迫されやすく、血流が滞りやすくなる。
さらに、激しい稽古によって水分が失われがちな力士の血液は、一般人よりも粘度が高くなりやすい。このような肉体的特徴を持つアスリートが、手術後にベッドの上で数日間も動かずにいれば、血栓が形成される条件は完璧に揃ってしまう。スポーツ医学の知見が未発達だった当時、彼を救う手立ては事実上存在しなかったのかもしれない。