医療や法学の領域において、終末期の死の迎え方は主に「尊厳死」「積極的安楽死」「消極的安楽死」「自然死」の4つに大別されます。一般の議論で最も混同されやすいのが尊厳死と安楽死の違いです。
尊厳死とは、不治かつ末期の状態に陥った患者が、過剰な延命治療を差し控え、または中止することで、人間としての尊厳を保ちながら迎える死を指します。苦痛を緩和する医療(緩和ケア)は継続して行われ、無理に生命を維持する医療機器だけを外す、あるいは初めから装着しない選択をとります。
一方、積極的安楽死は、耐え難い肉体的苦痛に苦しむ患者の要請に基づき、医師が筋弛緩剤や致死薬を投与して直接的に死期を早める行為です。オランダ、ベルギー、スイス、アメリカの一部の州などでは厳格な要件のもとで合法化されていますが、日本では刑法第202条の「嘱託殺人罪」または「承諾殺人罪」に抵触し、明確な違法行為となります。
また、自然死(平穏死)は医療的介入を一切行わずに老衰や病気によって命の火が消える状態を指し、尊厳死は「医療技術が存在する現代において、あえて延命措置を拒否して自然死に近い状態へ着地させる行為」と捉えられます。