行司になるためのハードルは極めて特殊だ。原則として義務教育を修了した15歳から19歳までの男子に限定されており、定員も約45名と厳格に決められている。一度枠が埋まれば、空きが出ない限り新しく入門することはできない。
入門後、若手行司は各相撲部屋に所属し、相撲の決まり手を暗記するだけでなく、相撲文字の稽古、太鼓の打ち方、呼出しとの連携など、多岐にわたる伝統芸能の技能を叩き込まれる。土俵上での俊敏な足さばきや、力士の動線を見極める眼力は、何年もの実戦経験を経て磨かれていく。
昇格は年数や実力を総合的に評価して決められるが、立行司へ上り詰められるのは同世代でほんの一握り。定年である60歳(再雇用制度で65歳まで拡大)まで、休むことなく土俵と向き合い続ける過酷なサバイバルが繰り広げられている。