水の世界から一転、C展示室に足を踏み入れると、巨大な影が頭上を覆う。世界屈指の完全度を誇るツダンスキーゾウ化石骨格標本だ。見上げるほど巨大な牙と頑強な骨格は、かつてこの滋賀の地が原生林に覆われ、巨獣たちが闊歩していた太古の時代を鮮烈に証明する。古生物学の最新知見に基づき精緻に組み上げられたその姿には、言葉を失うほどの迫力がある。
この重厚な展示を監修し、学術的な礎を築いたのが元館長で古生物学者の高橋啓一氏だ。発掘現場の臨場感をそのまま伝える地層断面の剥ぎ取り標本や、微小な花粉化石から気候変動を読み解く展示手法には、第一線の研究者たちの情熱が息づいている。子どもたちは巨大な骨格標本に歓声を上げ、大人は地球環境の変遷という深遠なドラマに思わず引き込まれる。