結論から明かすと、日本全国の神社の大半が加盟する神社本庁の標準的な見解において、吉は中吉よりも上位と定められています。一般的に神社本庁が例示するおみくじの順番は以下のとおりです。
【神社本庁が示す標準的な順位】
大吉 > 吉 > 中吉 > 小吉 > 末吉 > 凶
この序列を見て驚く方は少なくありません。日常の言語感覚では「大・中・小」のグラデーションが自然に感じられるため、「大吉の次は中吉だろう」と直感的に思い込んでしまうためです。しかし、神道の祭祀観において「吉」とは、過不足なく神仏の御加護が満ちている「標準にして最良の原点」を指します。中吉や小吉は、その完全な状態である吉に「中くらいの度合い」「少しの度合い」という修飾語がついたものと解釈されるため、修飾のない純粋な「吉」が上位に君臨するのです。
一方で、仏教寺院や独自の神事儀礼を色濃く残す一部の神社では、全く異なる見解を示しています。天台宗の僧侶・良源(元三慈恵大師)に由来する「元三大師百番みくじ」の系譜を引く寺院などでは、語感のわかりやすさを重視して「大吉 > 中吉 > 小吉 > 吉 > 末吉 > 凶」という順列を採用するケースが珍しくありません。
現場取材において神職や僧侶に話を伺うと、「おみくじの序列に国家規格のような単一の法律は存在せず、その社寺が拠って立つ教理や伝統を優先している」という答えが一様に返ってきます。つまり、参拝した社寺に順位表が掲示されていればそれに従い、明記されていない神社であれば「吉は中吉より上」と理解しておくのが最も正確な事実です。